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== 読書 ==

誰でもない彼の秘密

熊井明子さんのエッセイを読んでいて何度もエミリ・ディキンスンについて書かれた文が出てきたので、随分前に購入したのにも関わらず積んであった小説をついに手に取りました。

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《誰でもない彼の秘密》マイケラ・マッコール。

アメリカを代表する女流詩人エミリ・ディキンスン。
彼女の詩の世界に初めて惹かれたのは私が15歳の時。
この小説の中のエミリも15歳の感受性豊かな少女です。

生涯アマストの生家から離れず詩作に耽った孤独な女流詩人、というイメージのエミリ・ディキンスンですが、この本の中では活発で、奔放で賢く、生き生きとした少女。
ふとしたきっかけで、洒脱でユーモアと機知を持った謎めいた男性《ミスター・ノーバディ》と出会い、その彼がエミリの家の敷地内の池で死体で発見され、彼の身に何が起こったのか、彼は誰なのかを探る、ミステリと初恋を描いた上質なYA作品でした。

自然を愛し、コルセットに隠したノートに完成の赴くままに言葉を紡ぐエミリ。
神経質な母親の監視の目をくぐり抜けつつ、良い理解者であり協力者の妹と共に、ミスター・ノーバディの死の謎を解くべく冒険するエミリ。
小説の中のエミリは、孤高の詩人のイメージを覆すほど瑞々しく愛らしい少女。

カバーのエミリの詩に出てくる草花のイラストや、ミスター・ノーバディと出会うきっかけとなった蜜蜂のシーンや、各章の冒頭に添えられたエミリの詩が、エミリファンには嬉しい。

このお話の中のエミリの初恋は短く終わりましたが、その初恋の思い出はきっと彼女の詩の世界にいつまでも生き続けるはず。
架空のお話だけれど、そんな風に思います。

久々にエミリ・ディキンスンの詩集を読み返したくなりました。





草原をつくるには クローバーと蜜蜂がいる
クローバーが一つ 蜜蜂が一匹
そして夢もいる----
もし蜜蜂がいないなら
夢だけでもいい

(エミリ・ディキンスン 草原をつくるには)



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